斎藤隆夫にみる真の政治家(10)~粛軍演説~

さらに、5.15事件に関係した青年将校20名のほかに、「これ以外に、より以上の軍部首脳者にしてこの事件に関係している者は一人もいないのであろうか」と追及した。山本検察官の論告の中に、この疑いの可能性を示すものがある。簡単に挙げると、①被告は、戒厳が宣告されそうになったらどこからか大きな勢力が現れて、当然これを収拾してくれるだろうと確信していた。②部下指導における上司の態度はきわめて曖昧で、彼らの行動を上司は認容していたかのようにみえる。このようにして斎藤は、軍部秘密所に言論の刃を突き刺した。以上、要約すると、5・15事件の原因は、次の二つということになる。一つは青年軍人の思想問題、もう一つは事前監督および事後に対する軍部当局の態度である。そこで一転して、それでは軍部以外の政治家はどうなのか。立憲政治家たるもの、正々堂々と国民の前に立ち、公明正大に政治上の争いをするべきである。裏で策動して陰謀を企てるなど、許すべからざること。まして、政治圏外にある軍部の一角と通謀し、自己の野心を遂げようとするに至っては、これは政治家の恥であり堕落であり、卑怯千万のふるまいである。斎藤は暗に、軍部がのさばるのは立憲政治家の側に軍部に乗せられるところがあるからだと指摘しているのだ。「私は全国民に代わって軍部の一大英断を希望する者であります」   (つづく)
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by mako-oma | 2017-05-31 21:13 | 斎藤隆夫 | Trackback | Comments(0)  

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