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齋藤隆夫にみる真の政治家(6)~粛軍演説~軍部の政治介入

『粛軍演説』の主調音は、政治集団と化した軍部の暗部をつくことにあった。つまり彼は、軍部そのものではなく、その「政治性」を批判したのである。明治天皇が軍人に賜った『軍人勅諭』,伊藤博文の『憲法義解』をはじめ、どの法律・規則を見ても、現役軍人に対しては、選挙権も被選挙権も認めていない。この理由は一つ、陸海軍は国防のために設けられたものだからだ。軍人はつねに天皇の統帥権に服従し、いざとなったら国家のために,身命をかけて戦争に従わなくてはならない。だから当然、軍人の教育訓練はもっぱらこの方面に集中される。政治、外交、財政、経済などは、軍人の知識経験の外にあるのだ。若し軍人に政治活動を許すと、政争の結果、武力にうったえて自己の主張を貫徹するに至るのは自然の勢い。そうなったら、立憲政治は破滅し、国家動乱、武人専制の端を開くものであるから、「軍人の政治運動は断じて厳禁せねばならぬのであります」ことに青年軍人の思想は、きわめて純真ではあるが、また単純であり、それ故に彼らが政治に参加するということは、きわめて危険性をもっている。 (つづく)

by mako-oma | 2017-05-27 19:48 | 齋藤隆夫 | Trackback | Comments(0)  

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