斎藤隆夫にみる真の政治家(12)~粛軍演説~
①”明晰さ”への求心力。彼の演説は、権力の行使に”明晰さ”を追求することで”鏡をおく”作業をもたらしている。②思想の設計図が鮮明に読み取れること。つまり聴く人に政治を進行形のまま理解させることができる。③アナログ型思考の人であったこと。問題を瞬間的にとらえて批判するのではなく、時間軸の上を誘導しながら、その変化と発展の意味をとらえている。以上を集約した上で、彼は「反軍家」「反戦家」というより、「正論家」であるということがわかる。「正論家」が国を動かすことは少ないが、「正論家」を無視した国の経営がうまくいったためしはない。」「正論家」とは行為者にとって前に置かれた鏡なのである。行為者はその鏡によって自分の等身大の姿を知り、ゆがんだ行為を修正し、希望的観測や情念からくる錯誤から免れることができる。彼は、その政治家としてのイメージで、現代の政治に対しても「鏡」の役割を果たしていると言えるだろう。
by mako-oma | 2017-06-02 20:22 | 斎藤隆夫 | Trackback | Comments(0)