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齋藤隆夫にみる真の政治家(11)~粛軍演説~

齋藤は最後に、今回の2.26事件にたいする「国民感情」について述べた。国民的尊敬の的だった高橋大蔵大臣、斎藤実内大臣ら、誰が見ても温厚篤実な重臣が、国を守るために授けられた軍人の銃剣によって虐殺されたのだ。むろん国民は非常に憤慨し、また心を痛めている。それにもかかわらず、言論の自由が拘束されている今日の時代において、彼らは公然とこれを口にすることはできない。わずかに私語の間にこれをもらすか、あるいは目くばせで伝える。これでは、専制武断の封建時代となんの変わりがあるのか。「一部の単独意思によって、国民の総意が踏みにじられる形勢が見られるのは、はなはだ遺憾千万の至りにたえない」それでも国民は沈黙し、政党も沈黙している。しかし、人間は感情的動物。「国民の忍耐力には限りがあります。私は、その忍耐力が尽きる時の来ないことを、心から希望するのであります」  (つづく)


by mako-oma | 2017-06-01 21:04 | 齋藤隆夫 | Trackback | Comments(0)  

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